作家名藤田嗣治
技法彩美版 シルクスクリーン併用
制作年2025年
額寸天地59.0×左右51.5×厚さ6.8㎝
限定枚数300部
備考監修フジタ財団
1886年に東京で生まれた藤田嗣治は、東京美術学校西洋画科(現・東京藝術大学)を卒業後フランスに渡り、モディリアーニやピカソ、ルノワールなどと幅広く交流しながら芸術の都パリで自身の芸術を磨きました。この時代に藤田が生み出した「乳白色の下地」は人気を集め、一躍、藤田を時代の寵児へと押し上げました。
本作≪カフェにて≫の着想を得たのは、戦後パリに帰還しようと日本を出たのち、すぐにはその思いが叶わずニューヨークに滞在していた時とされています。シックな黒いドレスを着て、やや目を伏せ物憂げな顔でカフェのテーブルに座る女性。テーブルの上には何も書かれていない手紙と飲みかけの赤ワイン、カバンが無造作に置かれています。描かれたものや当時の状況などから、本作には、過去の良き時代への郷愁や来るべき生活への期待と不安、いまだ見えてこないフランスへの望郷の念などが込められているなど、さまざまな解釈がされています。長い時を経て懐かしきフランスへと帰る藤田は、本作で何を想っていたのでしょうか。